「塔が見えるロケ地」まとめ
どんなシーンでも印象的にする魔法の被写体…それが「塔」。特に京都サスペンスにおいては、抜群の存在感を示す「塔」のある風景を集めてみました。
どんなシーンでも印象的にする魔法の被写体…それが「塔」。特に京都サスペンスにおいては、抜群の存在感を示す「塔」のある風景を集めてみました。
京都駅烏丸中央口前にそびえ立つ京都タワーは、旅客の「京都に来たぞーッ!」気分を盛り上げてくれる「京都の顔」。台座となるタワービルを含めた高さは131メートルで、市内では最も高い建造物です。
京都サスペンスでここを一番目にするのは、東本願寺護御影堂門前からのカットではないでしょうか。東寺北側の国道114号線オーバーパス同様、冒頭のイメージカットで「ここは京都どすえ!」とツカミはガッチリ。門前の大灯篭の向こうに、望遠レンズの圧縮効果でタワーが大きく映し出されるのがデフォ。
「科捜研の女」S17-1話では、JR京都伊勢丹屋上での大捕物シーンのアクセントになっています。
東本願寺の渉成園(しょうせいえん)ロケでも時折映り込みます。京都の日本庭園の向こうには、盆地を囲む山々が見えるものですが、ここはちょっと予想外な眺めでした。
タワー内部の場合、ロケに使われるのは大抵展望室の下の階(4階)です。特に「853〜刑事・加茂伸之介」の初回とラストは大好きなシーンです。
あと、向こうから見えるなら、こっちからも見えるはず!発想を逆転するのよなるほどくん!ってことで、展望室の望遠鏡(無料)であの屋上が見えます。いやー、探した探した。
仏教寺院がめちゃ多い京都では、教会建築は目立つ存在です。中京区にある京都ハリストス正教会の「生神女福音大聖堂(しょうしんじょふくいんだいせいどう)」は2022年(令和4)国重要文化財に指定された正統ロシア・ビザンチン様式の聖堂です。京都府庁旧本館と同じ京都府技師だった松室重光による設計です。
「京都迷宮案内」S5-6話で隣の児童公園(富小路殿公園)が使われましたが、背景のここが気になって気になって会話が頭に入らなかったです。
耳塚(鼻塚とも)は豊臣秀吉を御祭神とする豊国神社前の正面通(しょうめんどおり)にあるこんもりした塚と供養塔です。が、その歴史、云われは酸鼻を極めます。秀吉の朝鮮侵略の際、その数で武功を競う為に首の代わりに敵の耳・鼻を塩づけにして送った後、塚を築き供養した場所。
隣にある児童公園(耳塚公園)の前が、「科捜研の女」S18-4話で使われて、耳塚がしっかり映っています。向かいはS11-14話で事件が起きた和菓子の老舗(ドラマでは「懐中屋」)となった甘春堂東店。神社境内もよく使われ、京都観光を兼ねて行けるステキロケ地です。何より空いてるし。
赤い塔の前で鑑識作業が行われていたら、8割がた(当社比)そこは大覚寺。1967年(昭和42)、嵯峨天皇心経写経1150年を記念して建立された色鮮やかな宝塔です。コンクリート製、高さ約16メートル。
「新・科捜研の女」2(S6-2)では、塔内部の文化財を調べに土門さんとマリコさんが中に入っています。
大覚寺と大沢池の周辺は、昔から時代劇のロケ地として知られています。かつては町娘が襲われたり、秋山小兵衛が釣り糸を垂れたり、現代では京都府警と科捜研が出動したりと大人気。大沢池の奥は「ドクター彦次郎4」で真相を語る崖スポットになったり、ドラマ版「恐怖新聞」で「あの世」になったり。
「京都サスペンス二大巨塔」のひとつ。東寺(教王護国寺)の五重塔は、木造塔としては日本一の高さで約55メートル。弘法大師空海が唐より持ち帰った仏舎利が収められており、火災などで焼失して、現在の塔は1644年(寛永21)に徳川家光の寄進で建てられたもの。国宝。
新幹線とセットで映る「京都」のシンボル的存在であり、特に「赤い霊柩車14」では、五重塔が背景に入る場所が何か所も出てきます。
個人的に大好きなのは、東寺南西の国道1号線にある京阪国道口交差点の歩道橋の上。五重塔と行き交う自動車と東山の山並みを背景に、「登場人物2名が話しながら歩いて行くシーン」が様々な作品で撮られています。
「京都サスペンス二大巨塔」のもうひとつが、東山のシンボルの「八坂の塔」です。正式には臨済宗建仁寺派霊応山法観寺の五重塔で、高さ46メートル。重要文化財。特別公開で塔に上ったことがありますが、狭い急階段で怖かったです。
塔が正面に見える八坂通と、塔と文の助茶屋が見える坂は、訪れた人が必ずカメラを向けるメジャー観光地。清水坂から北の石段の坂道のことを産寧(三年)坂と言いますが、この辺りの石畳の坂道も産寧(三年)坂なんだそうな。
変わった所では、法観寺前広場から清水坂に抜ける道沿いのアパート前(アパート内部も時折ロケに使われる)や、すぐそばの大漸寺(だいざんじ)からの撮影。「京都地検の女」S4-1話や「赤かぶ検事奮戦記」で確認することができます。この道は「ブラタモリ」でも歩いていました。
円山公園近くの大雲院(だいうんいん)の境内にそびえる祇園閣(ぎおんかく)は、近代日本を代表する建築家・伊東忠太の設計によるもの。祇園祭の山鉾のような異彩を放っていますが、実際にそれを模しており、こちらは鶴がてっぺんにあしらわれています。屋根が青銅製で「銅閣」の別称も持ちます。
大倉財閥創始者・大倉喜八郎の別邸の一部として建てられ、コンクリート造りの高さ36mの3階建て。大雲院は通常非公開ですが、2024年「京の夏の旅」の特別公開で祇園閣を拝見できました。残念ながら敦煌の石窟画の模写のある内部は撮影禁止でした。(暑かった!!)
「狩矢父娘シリーズ 京都・開運ツアー殺人事件」冒頭では、和美が祇園閣が見えるねねの道でカメラを構えていて、その後「いっけな~い、遅れちゃう!」と、いつもの南禅寺水路閣に急ぎます。お約束。
ゴージャス意匠のレトロ建築物としては、実業家・村井吉兵衛によって建てられ、「科捜研の女」のロケ地にもなった近くの長楽館が必見です。こちらも特別公開時には豪華な上階を見学できます。
西陣の上立売通(かみだちうりどおり)と浄福寺通(じょうふくじどおり)の角から、織成館(おりなすかん)の前辺りは、派手さはないものの実は一大ロケ地です。桜の名所として知られる雨宝院(うほういん)向かいに連なる本隆寺(ほんりゅうじ)の塀、そこから見える金色の仏塔、赤いポストがフォトジェニック。
塀には寺の瓦のふき替え時に出た古瓦が埋め込まれており、塀越しに見える本堂は、長らく改修工事でシートに覆われていました。(2023年秋落慶法要) 肝心の金ピカのインドのストゥーパっぽい塔ですが、本隆寺や塔頭について調べても情報が出てこないので「仏塔(?)」としておきます。
「科捜研の女」S15-9話で、イラクサ探しの候補地となった妙満寺境内にある仏舎利塔。なかなか目を引く映像でしたが、本物は更にインパクトありました。
ユネスコの世界文化遺産インド・ブッダガヤ大塔をかたどり、1973年(昭和48)に建立されました。外壁にお釈迦さまの像がたくさん見られますが、これは建立33周年にあたる2006年から3年をかけ、外壁に釈迦像486体を奉安し、併せて内外の荘厳が整えられたそうです。
嵐山の法輪寺は石段と舞台が主なロケ地ですが、境内の多宝塔も映り込んでいます。塔は1936年(昭和11)に再建されたもので、工事中でもないのに下層がアクリル板みたいなので覆われて、観光客もスルーしがち。でもよく見ると色彩豊かな立派な塔です。
天井画は菊池契月とありますが、残念ながら内部は非公開。京都画壇の巨匠・菊池契月の日本画作品は、京都市京セラ美術館の常設展で見ることができます。
平安神宮近くにある京都市美術館は、現存する日本の公立美術館では最も古い歴史的美術館建築です。「京都市京セラ美術館」として、2020年にリニューアルオープンしました。カフェとショップがめちゃキレイで驚いた!
美術館の裏には、地味目な日本庭園(七代目小川治兵衛作庭とか)があり、かつてはほとんど人がいない穴場休憩スポットで、「狩矢父娘シリーズ」で見かけました。んで、そこで背景として映り込んで目を引いたのが、こちらの美術館の煙突じゃなくて換気塔なのかなコレ?ま、見た目から塔の一種ということで。
改装で庭の雰囲気は変わったものの、美術館側からも自由に出入りできるようになりました。カフェでランチバスケットを作ってもらって、このお庭でピクニックができるそうです。これは新たなロケ地の予感!!
旧京都市立有済(ゆうさい)小学校の太鼓望楼(たいこぼうろう)。こちらも「狩矢父娘シリーズ」で見て「なんじゃこりゃ!?」だった建物です。
1876年(明治9)建築。地域のシンボルであり、火の見櫓として火事を知らせるとともに、太鼓を打ち鳴らして時刻を知らせたので、望火楼から太鼓望楼と呼ばれるようになったとか。
当初は木造2階建ての講堂の屋根にそびえていたが、1952年の講堂の取り壊しに伴い、鉄筋コンクリート3階建て校舎の上に移築され、今の不思議な光景となりました。有済小は2004年(平成16)統廃合で134年の歴史を閉じ、現在は市教育委員会が管理。京都市内の閉校となった学校が次々とホテルになってしまい、ここも今後どうなるか気がかりです。
楼閣とは高層の建物のことを表すそうですから、こちらも塔の一種とします。三条京阪駅近くにある明治の名残です。
「怪奇大作戦」第23話「呪いの壺」で上京区にある妙顕寺とともに、特撮ファンに知られる本願寺伝道院が見える西本願寺門前町の正面通です。「遺留捜査」S4-9話では、糸村さんが自転車を走らせています。「怪奇大作戦」で最初見た時は、合成かと思った不思議な風景です。
真宗信徒生命保険株式会社(凄い社名!)の社屋として、1912年(明治45)に建てられ、現在は浄土真宗本願寺派僧侶の布教・研修の道場として使用されています。重要文化財。
設計は祇園閣と同じ東京帝国大学教授・伊東忠太。「彼の唱える建築進化論(石材や鉄に依存しつつも欧化でも和洋折衷でもなく、日本建築の木造伝統を進化させること)を明確に表現し建物で、外観は古典様式に基づくものの、開口部まわりや軒まわり、塔屋の形態などにサラセン様式、日本の伝統的な様式が用いられている。」と説明版にあります。
内部は非公開ですが、ぱっと見ただけでも色々な意匠が凝らされた、遠くからも近くからも「映える」建物です。西本願寺界隈は、ここと堀川通に面した総門付近、唐門と隣の龍谷大学大宮本館が必見ロケスポットです。
「京都南署鑑識ファイル12」で美しい寒牡丹と塔が映って、ステキ!どこかしらんと探したら、上野東照宮の牡丹園と旧寛永寺の五重塔でした。がっかり。