41.劇場版ロケ地まとめ

地元県警ともタイアップしたらしい
  

必ずホシを挙げる!!!

 映画「科捜研の女 -劇場版-」、2021年9月3日公開。シリーズ中の人気キャラクターが登場する科捜研アベンジャーズで、京都の観光名所がふんだんに撮影に使われています。

 2024年現在、京都は再び、というか更なるインバウンドのオーバーツーリズムの中、様々な問題を抱えています。コロナ禍の2021年の撮影時は空いていたんだろうなと、昨年から今年にかけて、あちこち廻って思いました。遅ればせながらの劇場版ロケ地案内です。

産寧(三年)坂

通勤コースは観光地ど真ん中

 自転車通勤のマリコさんが通るのは、人気観光スポットにしてメジャーロケ地の東山の産寧(三年)坂です。産寧坂とは、例の桜が倒れたあの石段だけではなく、この界隈の緩い起伏の石畳のことも示すのだそうな。八坂道と表記されることもあります。

文の助茶屋も時折ロケ地になる

 八坂の塔(法観寺)や文の助茶屋の前が通勤路なんてステキですが、観光シーズンは混んでて大変そう。毎日残業で帰宅が遅いから問題無いか。

  

 画面をよく見ると、後ろの塀に何やらボコボコしたものが映り込んでおります。これはお隣のギャラリーの塀に、かなり以前から掲げられた非常に個性的な作品群で、大変ひと目を引くのですが、「写真を撮る方100円」と書いてあるのが更に目を引きます。

蔵のある立派な構え

 タダ撮りするとオバチャンが出てきて怒られるという噂もあり、早朝で画廊は閉まっていましたが、100円入れてカメラを向けました。

英語でも有料をアピール  

 事件の知らせを受けたマリコさんは、坂に面した路地から自転車で出動します。

自転車で出動!
  

 マリコさんの住居遍歴ですが、アパートの汚部屋暮らし→アパートの更新忘れて城丸刑事(伊藤裕子)のマンションに転がり込む→白川親水デッキの近くらしき町家暮らし→(S17-1話で「家が近所なので」と、自転車で新橋通から巽橋経由で臨場。祇園界隈にお住まい?)→下京区のマンション(S19-17話。S17-6話で民泊した時の水道管改修工事はここ?)を経てからの東山区のマンション住まい。汚部屋住人じゃなくなってファンはひと安心です。

おなじみの場所
朝7時で既にこれ
もう見ることができない狭義の「産寧(三年)坂」の桜

帝政大学っぽい所

それっぽい非正規ロケ地  

 劇場版ロケ地巡りするで!と張り切ったものの、いきなり躓きました。というのは「加賀野教授(佐々木蔵之介)がダイエット菌の研究をしている八王子の帝政大学」のロケ地となったのは京都じゃない!大阪府大阪狭山市にある大阪府立狭山池博物館なのだ!

京都の帝政大学(嘘)

 京都じゃないと当サイトの趣旨に合わない。がっ!オバサンは知っている!京都市内の「よく似た」場所を!!!

北山通で植物園の隣  
お金かかってそうな施設

 ということで「京都にある正規ロケ地に似て非なる場所(何それ?)」としてご紹介するのが、こちらの「京都府陶板名画の庭」です。北山通沿いの京都府植物園のお隣にあり、地下鉄烏丸線北山駅3番出口前で観光ついでに立ち寄りやすく、しかも入場料100円。

滝の向こうに植物園が見える
モネの「水連・朝」は水の中

 写真でおわかりいただけるように、鉄筋コンクリートの構造物に流れ落ちる滝という、あのスタイリッシュでカッコイイ帝政大学キャンパスの雰囲気を味わうことができます。テイストが似ているのもどおりで、ここは狭山池博物館と同じ安藤忠雄の設計です。

「最後の審判」はほぼ原寸大
スタイリッシュな建築と世界の名画
日本の名画「鳥獣戯画」

 京都にある氏が手がけた建物では、三条小橋脇の「TIME’S(タイムズ)」ビルも知られています。高瀬川に面したテラス席がロケの定位置でしたが、テナントの撤退で最近目にしません。

 
タイムズビルは今年「KYOTOGRAPHIE/京都国際写真祭」の展示会場になった

福田美術館 ミュージアムカフェ

眺めの良いカフェ  

 京都医科歯科大学准教授と書かれた名刺を見た土門さんに思い出されたのは「あの佐沢先生(野村宏伸)」。空気読めなくてウザいけど、マリコさんの命の恩人でもある意外と有能な(失礼)憎めないキャラで、劇場版で健在ぶりを拝見できて嬉しかったです。

  
立派な私設美術館
ミュージアムショップとカフェは是非立ち寄りたい

 キメキメファッションの佐沢先生がいたのが、嵐山にある福田美術館のミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」。

 渡月橋を一望できる、大層眺めの良いカフェです。学会のレセプションか何かの設定でしょうか、舞妓さん相手に懸命にアピールしていましたが、マリコさんのことも忘れず想っている様子が描かれていて微笑ましかったです。(ウザいけど)

確かに立食パーティーに向いてる感じ  

 渡月橋からぷらぷら歩いて行ったら、美術館前がめちゃくちゃ混んでる!一瞬焦りましたが、これはお隣の人気店、「%」のロゴで知られるコーヒースタンド「アラビカ京都 嵐山」の行列でした。ここを右に曲がれば美術館入口です。

行列の向こうにカフェが見える  
カフェから行列が見える

私設美術館(オーナーは消費者金融アイフルの創業者)でカフェ利用には入館料が必要ですが、長沢芦雪や円山応挙の貴重なコレクションが鑑賞でき、しかも写真撮影OKというありがたい美術館です。

応挙のカワイイ子犬たち
収蔵品は琳派のものが多い

先斗町歌舞練場

ポルトガル語のponta(先)が語源とも言われる
転落死現場
  

 4階展望室から斎藤教授(増田広司)が飛び降りた第二の事件は、「鴨川をどり」で知られる「先斗町(ぽんとちょう)歌舞練場」で発生しました。外から見ても大層凝った意匠の建物で、公式サイトには1927年(昭和2年)竣工の「東洋趣味を加味した近代建築」と記されています。

  

 実際に現場を見ると、上階から飛び降りるにしても、下の階の屋根や庇があって、直接地面に落ちるのは難しそうです。下から見ると、中央にある西洋建築のガーゴイルめいた装飾が目につきますが、これは蘭陵王(らんりょうおう)の舞楽面を型取った鬼瓦です。超絶美形で美声だったという蘭陵王は、芸能関係の守り神ということでしょう。

美しすぎて兵の士気が下がるので、わざと獰猛な仮面を着けて戦ったとか

 土門蒲原コンビがここに向かう際にも舞妓さんとすれ違いましたが、日中でも芸舞妓さんを見かける京都有数の花街の本拠地です。土門さんが「何でこんな所に」と言ってましたが、ここに呼び出すのも、あっさり中に入れるのもねえ…。

   
  

 入口に色とりどりの和傘が置いてあったのは、エグい飛び降り現場を隠すとともに、何か一般入場可のイベントでも開催中という設定だったのでしょうか?実際、夏場にプレミアムモルツのビアホールになるし。(行って中が見たかった!) あ、でも佐沢先生は「今日は何もやってないみたいだな~」と、これまた勝手に中に入っちゃいました。不用心だなあ。

宅の豚児が行ったそうで羨ましいったら  
鴨川河川敷から見た歌舞練場
ここも良く見るロケ地  

京都駅ビル4階南広場

駅のホームが見渡せる
  

 捜査の為には、科学の為には、使えるものは何でも使う!皆でやってみましょう!のマリコさん。劇場版でもその姿勢は遺憾なく発揮され、「俺にできることがあればいつでも頼るといい」と言ってしまったが故に、元旦那の倉橋拓也(渡辺いっけい)は、府警本部で別れて僅か15分後に巻き込まれました。

 京都府警察本部こと積水化学工業京都研究所から、京都駅八条口までは車で10分ほど、そこから新幹線乗り場なら確かに15分ほど。合ってる。

南広場
いつも空いてる

 倉橋が電話を受けたのは駅は駅でも、京都駅ビル4階の南広場です。ホームが一望できる為、見送りシーンによく使われる場所で、かつてはマリコさんも、ここから横浜に帰る母(故 星由里子)を見送っています。すぐ下の3階南遊歩道とともに、人通りは少ないし、京都タワーも見えるし、遊歩道には緑化された所もある、京都駅の穴場休憩スポットです。

広場から見える京都タワーも背景に
すぐ下の南遊歩道

 新幹線ホームに近い八条口より、京都タワーのある塩小路通側からのが行きやすく、駅に入って伊勢丹の大階段を上がり、4階の室町小路広場から案内板に従って行けばすぐです。積水研究所から15分は無理。

室町小路広場の赤いオブジェが目印

錦市場 魚力

通路は外国人観光客でいっぱい  
  
  

 「公益社団法人 警察協力受難者協会」なる警察外郭団体に天下りという設定で、これまた懐かしい佐久間刑事部長(田中健)が登場し、錦市場商店街の居酒屋で、土門さんマリコさんと束の間旧交を温めました。

  

 ここ「魚力(うおりき)」は立派な看板からも伺えるように、鯛の塩焼き、所謂「尾頭付き」の「祝い鯛」や鱧を主に商うお店でしたが、現在は居酒屋を兼ねた店舗になっています。

勤務中の土門さんはウーロン茶のみ

 錦では路上での食べ歩きは禁止、店内ならば飲食OKということで、業態をこのように変えた店が近年多く見られるようになりました。かつての「プロ御用達の京の台所」は、インバウンドの影響で大きく変貌しています。

とにかく混んでる  

 ちなみに「警察協力受難者協会」なる団体は実在しませんが、公益財団法人警察協会がその任に当たり、「警察活動に協力援助したため被災した者、及び警察執行務に当たり災害を受けた警察職員、並びにそれらの遺族に対する救済援護活動をしている」とあります。

東福寺 通天橋と臥雲橋

  
紅葉名所にして京都サスペンス名所
  

 ラストの見せ場は、京都サスペンスロケ地中のロケ地!東福寺の「通天橋(つうてんきょう)」でした。京都を代表する紅葉スポットで、「日本一きれいな紅葉が見える場所」とラストで土門さんも言っていましたが、人の多さも日本一!!!なので、オフシーズンの青もみじの頃がおすすめです。

  
紅葉直前の頃
犯人が居た臥雲橋が見える

 東福寺には谷の上流から「偃月橋(えんげつきょう)」「通天橋」「臥雲橋(がうんきょう)の三名橋があり、通天橋のみ拝観料が必要です。紅葉ピーク時はライトアップされるのに何で無人だったのか?とか、拝観料はどうしたのか?とか、野暮なツッコミはしないこと。

結構張り出している
手すりから下をのぞく(怖い)

 谷に降りれば、例の橋の展望スペース(?)というか張り出し部分の真下を見ることができます。谷は深く、橋は高い。そもそも通天橋は、渓谷「洗玉澗(せんぎょくかん)」を渡る労苦から僧を救おうと、普明国師(ふみょうこくし)が室町時代に架けたものだそうな。

1961年(昭和36年)に橋脚部分が鉄筋コンクリートで再建された

 真犯人が確保されたのは、通天橋の西側(下流)にある「臥雲橋」です。寺の駐車場に通じる橋で、こちらも日中は大勢の観光客が行き来します。

駐車場からの通り道
  
通天橋より小規模だがいい感じ  
臥雲橋から通天橋を眺める

 臥雲橋から通天橋がよく見えますが、冬場でない限り木々が茂って橋の下は見えません。(以下ネタバレ注意)そのおかげで犯人には気取られずに、高所降下用救助マットを敷くことができました。演技もアカデミー賞ものだったし。

  

大覚寺もみじロード

  
  

 最後に土門さんとマリコさんが歩いていたのは、嵯峨野の大覚寺にある大沢の池エリアの「もみじロード」でした。病院に迎えに行って、「すぐに帰るのはもったいない」と、紅葉シーズンでも比較的空いているここを歩く!ナイスなチョイスだわ土門さん!

病院の近くという設定か?
もみじロード
奥の梅林も良い

 久しぶりに行くと、池の周辺を歩くだけでも参拝料金が必要になっていました。以前は自由に出入りできましたが、入口に環境保全のための募金箱があり、ロケ地保護料として都度いくばくが寄付していたので、きちんと料金徴収されるようになって逆に安心しました。

もみじロードはこの先  
ここもドラマでよく見る  

 嵯峨天皇が移り住んだ離宮「嵯峨院(旧嵯峨御所・後の大覚寺)」の日本最古の庭池の一部であり、今後も変わらず静かな環境を保って欲しい、時代劇でもおなじみの歴史あるロケ地です。

中国の洞庭湖になぞられて造られたことから「庭湖」とも呼ばれる
2024年7月1日公開