S19-10

39.ワグネル広場

公園の中の公園(広場)

市電車両が無くなったー!

京都で「岡崎」と称される平安神宮周辺は、多くの文化施設を擁する「岡崎公園」という名の総合都市公園になっています。1895年(明治28)開催の第四回内国勧業博覧会跡地が整備されたもので、平安神宮もその頃の創建です。(平安神宮は1976年に左翼活動家による放火で本殿等が焼失し、その後再建されている)

府立図書館と交番の間にある

S19-10話の証拠品(ネックストラップ)の発見現場で、「大鳥居公園」という見たまんまの名前になっていたのが、その総合公園内の一区画、府立図書館の隣にある広場で、地図には「ワグネル広場」と記されています。

   
黒い棒みたいなのは棕櫚の木でした   
実際にはゴミ箱は無い

一瞬映った市電車両は2015年(平成27)に開設された、もと京都市電1800形1860号車を利用した観光案内所「岡崎・市電コンシェルジュ」です。大宮交通公園からここに移設されたもので、車中には各種言語の京都案内やイベントのペーパー類が置かれて、観光客にとって大変ありがたい情報収集の場兼休憩所でした。

   

放映2ヶ月後の2019年12月、事件性は不明なものの窓ガラスが割られ、その後新型コロナウイルスの感染拡大で2020年春以降は閉鎖。静態保存とはいえ維持費が嵩み、2021年に枚方(ひらかた)市内の霊園に譲渡、移転されてしまったそうな。

   
   
   
廃止されたのが本当に残念   

ワグネル博士顕彰碑

放映時とは景色が少々変わってしまいましたが、科捜研ファン的に大層気になるものがありまして、それがこの広場の名前の由来である「ワグネル博士顕彰碑」です。

碑の大きさから貢献度や当時のドイツとの関係が伺える
ゴットフリード・ワグネル

ワグネルはドイツ出身の明治維新期における、所謂お雇い外国人です。京都医学校(京都府立医科大学の前身)や舎密局(せいみきょく・化学技術の研究・教育、および勧業のために作られた官営・公営機関)での指導にあたりました。

陶磁器や七宝焼釉薬、ガラス、染色といった化学工芸分野の造詣が深く、京都の産業の近代化に大いに貢献したとあり、広場に建てられた大きな碑に納得です。

顕彰碑を見て「これなんだろー?」と訝しむ呂太くんに、宇佐見さん(人間Wikipedia)が「日本の化学技術の発展に大きな功績を残した、我々の偉大な先達だよ。」と詳しく教えていそうですね。京都舎密局の跡地は旧京都市立銅駝美術工芸高等学校で、校舎脇に説明板があります。

旧銅駝高校
   

大回り遠回り

防犯カメラ映像からわかった寿司職人養成学校校長の入間(清水美沙)が歩いた道筋ですが、「京都市美術館裏の岡崎通の疏水の橋」→「仁王門通沿いの駐車場前の道」→「白川疏水分水の石泉院橋(せきせんいんばし)」です。例によって方向や位置関係は現実とは異なり、「証拠品を捨てる為の遠回り」以上の大回りをしています。

   

歩いたコースと実際の地図の整合性は無く、科捜研の地図では岡崎公園が大鳥居公園になっており、事件現場の「鮨若杉」は、聖護院の京都大学医学部附属病院のお隣にマーキングされていました。

   
   

大鳥居がバッチリ窓の向こうに見える応接室シーンというのを時折目にしますが、この駐車場の隣の会社の中なのかなあ?

   

「左京区岡崎における神宮道(冷泉通~二条通)と公園の再整備基本計画」によって、平安神宮の応天門前の神宮道も公園になりました。広い車道を利用したバス停シーンが良く撮られていましたが、科捜研でもS4-1話で長距離バスからマリコさんが降り立っています。

かつては観光バスが連なる車道だった
色々なイベントの場にもなっている

ロームシアターになって無くなりましたが、S11-2話では京都文化会館だった頃の中庭の池や建物脇の生垣を見ることができます。ほぼ変わりのない寺社や文化財建築はもとより、「常に変化する普通の京都の風景」が様々なドラマには保存されています。

ロームシアター中庭にある市美術館別館   

この回ラストは、鴨川沿いの琵琶湖疏水鴨東運河放流口の橋でした。S17-11話でコーヒーを飲んで帰る提案に応じたように、最後に「(寿司を)喰いに行くか!」と誘う土門さんに、「行きましょう」とマリコさんが快く応じています。バディものドラマの大好きな終わり方です。

琵琶湖疏水鴨東運河放流口の橋
府立図書館の二宮尊徳像は柴を背負っていない
2024年1月公開