S15-9
18. 栗原邸(旧鶴巻邸)
木で建物が見えない~
S15-9話の偽装妊婦殺害事件で、マザーことモミたん(山村紅葉)主催のシェルター「マザーズテラス」となっていた怪しい門構えの屋敷は、近代建築ファンに知られる、山科区の御陵(みささぎ)にある栗原邸(旧鶴巻)でした。
ドラマでは裏から板が貼られて中が見えないようになっていた
染色家で京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)校長であった鶴巻鶴一の自宅として1929年に建築。設計は本野精吾(もとのせいご)。
地下鉄東西線の御陵(ごりょう)駅の山側、住宅街の車一台がやっと通れる道を登ることしばし、ドラマの通り外界から隔絶するような大きな門扉のある屋敷はありました。
ひたすら住宅街の坂を上がった先にある
裏にお寺(永興寺)と駐車場があってたまに車が通る
怪人のアジト
昭和初期のステキ洋館を前にして、「そのころ、東京中の町という町、家という家では…」 という「怪人二十面相」冒頭が自然に頭をよぎります。修復作業を行っている京都工芸繊維大学のサイトを読むと、ウィーン分離派の影響もあると記されてて、海野十三の「蝿男」に狙われた富豪のお屋敷が「明るい分離派風」なので、更にワクワク。
裏門も怪しい
探偵小説の世界
屋敷は琵琶湖疏水を背にしており、敷地(約300坪!)の半分は疎水沿いの雑木林だそうな。静けさ、鬱蒼とした木々、そして何よりも、この疎水のトンネルが怪人のアジト感に拍車をかけますね。その疏水トンネルを運行するびわ湖疏水船に是非乗船したいものです。
二十面相がボートで逃走するんですねわかります!
「ハッハッハ!さらばだ、明智くん!」
求む!京都モダニズム継承者
夏場に行ったので庭木が茂っていて、建物南側がほとんど見えなかったのが残念でしたが、一般公開に行けずとも、外観とモダンな室内を(2階のサンルームこそ出ないものの)ドラマで拝見できるのは本当にありがたいです。
建物の詳細は下記のサイトに詳しく、国の登録有形文化財で、2018年当時は「現在の建物を京都市の景観重要建造物や指定文化財に指定し、継承してくれる方限定」物件で、2億円とちょっとのお値段でした。今はどうなんでしょう?