S7-3

10.祇園長刀鉾からくり時計

宵山の長刀鉾
宵山の長刀鉾

「京都の祭りに人が死ぬ」は山村美紗の傑作短編集ですが、中でも祇園祭に殺人事件が起こるのは、京都サスペンスあるあるです。

四条通の長刀鉾と会所
四条通の長刀鉾と会所

日本の三大まつりを問われると、「東映まんがまつり!」「東宝チャンピオンまつり!」「ヤマザキ春のパンまつり!」と即答しちゃう情緒に欠けるオタクオバサンですが、京都にご縁ができた際には、祇園祭は絶対に見たいと思いました。

八坂神社
八坂神社
京都の夏
京都の夏

自分が持つ祇園祭のイメージは「山鉾巡行」で、他はせいぜい宵山と屏風祭くらい。実は祇園祭というのが7月いっぱいやっている八坂神社の神事で、山鉾巡行はそのハイライトではあるものの、メインとなる神幸祭(神輿渡御)や後祭については全然知らなかったです。山鉾が八坂神社近くじゃない街中の四条烏丸周辺に建つのにも驚いたし、「食べられないちまき」があることも!

保昌山のちまき
山鉾ごとに異なる「ちまき」

実際に色々見て感動しましたが、バリバリの京都人には「暑いしよう行かん。巡行は(故)市田ひろみの解説で、涼しい部屋でテレビで見るもん。」と言われちゃいました。(「あれは他所の学区のお祭りやし」とも)

長刀鉾への渡り
長刀鉾は2階の会所飾りは拝見できるが女性は搭乗できない
ちまき売り切れ
ちまきを購入すれば会所に入ることができる(´・ω・`)

前置きが長くなりましたが、その暑さが事件の要因となったのが、「京都地検の女」S7-3話。京都で銀行員になったものの退職し、母親(藤田弓子)に言い出せないまま工事現場で働く息子(橋爪遼)と、息子の「祇園祭観よう」という言葉を楽しみに京都に出てきた母に、コトは降りかかります。

野村証券の前
野村証券の前

様々な行き違い、庇い合いを察したあやさんは、母親を釈放し息子と京都見物に行かせます。その一か所となったのが、この野村証券京都支店前のからくり時計です。

からくり時計
9時から19時まで2時間毎に作動する

リンク先のSEIKOのサイトに曰く、『京都の中心、四条通りにある野村證券京都支店の玄関口に設置されたからくり時計。日本三大祭のひとつ「祇園祭」の先頭をいく長刀鉾(実物の約9分の1スケール)と、宮廷雅楽の火炎太鼓を合わせたデザインです。』

動画もあり、定刻になると前奏曲と共に43体の人形を載せた長刀鉾が現れ、祇園囃子「九段」に合わせて辻回しをし、道行く人を祇園祭に誘(いざな)います。

からくり時計
   

これがある四条堺町は、毎年巡行の順番がくじ取り式で決まった通りであるかを奉行(京都市長)に改めてもらう関所「鬮改め(くじあらため)処」が設けられる場所で、からくり時計を設置するにはぴったりです。(山鉾巡行が前後二日に執り行われるようになってからは、前祭りは四条堺町、後祭りは京都市役所前がくじ改め処になっています。)

からくり時計
   
からくり時計
稚児も囃子方も音頭取も屋根方も曳子も全部揃っている

ツッコミどころは色々ある話でしたが、祇園祭を見られなかった母が、この長刀鉾のからくりが動くのを見上げるシーンは秀逸です。巡行を終え各会所に戻った山鉾はさっさと片付け解体されて、翌日にはきれいさっぱり何も無いからなあ。

祇園辰巳稲荷
定番ロケ地

日暮れまでに戻るようにと、あやさんと成増さんが母子を信じて待つのは、おなじみの祇園辰巳稲荷の前。

南座前
南座

母子は八坂神社向かいの「景観に配慮した地味ローソン(現在はツルハドラッグ)」と祇園交番を背に、祇園町南側の花見小路前、南座前、四条大橋、からくり時計前と四条通を西に進みますが、何故かここから急に逆方向の石塀小路にワープします。銀行辞めて生活に追われる息子は、あんまり京都には詳しくないようです。最後の公園はどこかしらん?

祇園囃子
夜になると祇園囃子が始まる

冒頭に記したように、祇園祭に殺人事件発生!はよくあるネタですが、絵的にぶっちぎりで面白いのは、小道具の方が相当研究されたであろう「蕪山(かぶらやま)」なる架空の山の会所飾りを作る凝りようの「新・科捜研の女」3-1話(S7-1)。

アルタイラ出血熱初登場回で、マリコさんと土門さんの浴衣姿を見ることができて、しかもサブタイ「京都の祭りに人が死ぬ!!」。こちらはサブスクで視聴可能です。

宵山の鯉山
「推し山」の「鯉山」
鯉山の会所飾り
鯉山の会所飾り
鯉山の巡行
鯉山の巡行
巡行を終えて片付けまでが撮影チャンス
片付け中
2024年3月10日改訂公開