S19-9

30. 三宅八幡宮

鳥居
狛犬ならぬ狛鳩

S19-9話で爆弾が仕掛けられた恐れあり!と、マリコさんらが急行したのが左京区にある三宅(みやけ)八幡宮です。叡山電鉄沿線にある静かな神社でした。

いきなり別の神社!

叡山電鉄沿線と書きましたが、実はそんなに線路には隣接していません。科捜研が場所を割り出して最初に、鳥居と祠の向こうにオレンジ色の叡山電鉄展望列車「きらら号」が通過するのが映るものの、いくら八幡宮周辺を捜しても無かった!(その次のカットの三宅八幡の扁額はホンモノ)

う~ん、でもココかすかに見覚えあるのよね…ってことで、きらら号と山の形から見当をつけて沿線を捜索(笑)したら、同じく科捜研ロケ地の恵光寺に行った際に、前を通った市原駅すぐそばの大神宮社(だいじんぐうしゃ)でした。

一瞬映った場所
青もみじきららキター!!

山沿いの小さな神社で、社殿側から境内社と叡山電鉄の線路が見え、参道が線路橋梁の下をくぐるちょっと面白い風景です。うむ、間違いなくここだ。現場が特定できた。

大神宮社参道
   
大神宮社境内
   
きらら号
きららキター!! 

市原駅から先は叡山電鉄の「紅葉のトンネル」で知られた区間です。この駅も見覚えあるなあ。「京都地検の女」だったかなあ。

市原駅
   

ロケ地として以上の面白さ

いきなり脱線しましたが、本題の三宅八幡宮です。石段を上がった先に、マリコさんと一緒に映った大きな赤い灯篭がありました。境内を歩くと色々不思議なもの、面白そうなものがあります。

由来沿革を読むと第15代天皇 応神天皇(八幡大神)を御祭神にして、子供の守り神として、「かん虫封じ」「子供の病気平癒」「夜なき」「学業成就」の御利益がある。虫退治の神様として「害虫駆除」などの御利益でも知られ、通称虫八幡さん(むしはちまん)とも呼ばれて親しまれています。…とあります。

三宅八幡宮
駅から住宅地を少し歩く
三宅八幡宮
両隣の石灯籠には「昭和17年10月先斗町有志、上七軒有志」の文字     
境内
右側が社務所と絵馬資料館

「疳(かん)の虫」とは乳幼児の夜泣きや、ひきつけや癇癪等の異常を示す俗称で、ふた昔前の「♪あかちゃんよなきでこまったなー、かんむし、ちちはき、こまったなー」のCMソングの樋屋奇應丸や、藤城清治の美しい影絵CMの宇津救命丸が思い出されます。

「科捜研の女」ロケ地
ここだここだ

昭和の中期頃までは、ここに限らず「虫封じ」を掲げる神社仏閣や、それを行う呪医(まじない師)の類が結構いて、老母が言うには実際に「疳が強かった」赤ん坊の私にやってもらったことがあって、なんか細~い糸くずみたいな「虫」が患児の指先から出てきて、それを取るんだそうで、「効いた!」と申しておりました。(当然だが記憶にない)

虫封じ
地元にもあったわ

原因も治療法も不明な症状に対する民間療法でしょうが、子供の死亡率が高かった昔は、絶大な信仰を集めたであろうことは想像に容易い。

本殿
   
本殿前
お地蔵様みたいによだれかけが掛けてある

本殿前に数多くのスタイがくくられていますが、これは「よだれかけが不要になるほど無事に成長できました。」というお礼として奉納されたものだそうです。

お守り
お守りがカワイイ

絵馬資料館

絵馬資料館
絵馬には細密な押絵細工のもあり乱歩的妄想も

由来沿革には幕末明治期に「疳の虫信仰」が高まり、幼少の頃の明治天皇の病気快癒もあり、子供の神様として広く知られるようになり、そんな老若男女の参詣の様子が描かれ奉納された多くの絵馬が、絵馬資料館に展示されておりました。

絵馬はどれも大きく立派で、特に国の重要有形民俗文化財の参詣行列図は、今も続く京都の老舗の先々代や、歴史に名を残す人の姿と名が記されて、服装から時代背景や風俗を知ることができる貴重なものでした。幕末期らしきケシ坊主頭の子供たちの絵姿の絵馬が可愛かったです。

境内
戦前は参拝を兼ねた遠足の定番地だったそうな   

資料館は有料で写真撮影禁止でしたが、宮司さん自ら一点一点丁寧に説明をしてくださって興味が尽きませんでした。ちょっと期待した害虫駆除系、大日本除虫菊とかアース製薬奉納ってのは見当たらなかったです。

隠れ鳩捜し

八幡様のお使いとされる鳩のモチーフを、至る所に見ることができます。可愛い。

鳩
青と白と何か違うのだろうか?
鳩
八幡様の眷属
絵馬
絵馬
灯篭
灯篭にも
手水舎
手水舎にも
鳩
もちろん本物もいる
八幡前駅
八幡前駅にも
ゆるキャラ?
特にキャラ名はないみたい
噴水
広い境内には噴水のある庭もある

最寄り駅は叡山電車鞍馬線八幡前駅ですが、叡山本線三宅八幡駅から高野川を越え、一の鳥居をくぐって行くのが本来の参道です。(八幡前駅側の西側出入り口を「三宅八幡さんの勝手口や」と地元の人が言ってた)

参道から見える比叡山
比叡山が良く見える
駅からの参道
三宅八幡駅からの参道

秋の大祭ですが、祭囃子がドラマに使われたものなのか気になります。この回は「京都観光サウンドARプロジェクト」の市内観光名所として、方広寺の鐘、五条大橋の牛若丸と弁慶像、妙心寺退蔵院、一条戻橋、南禅寺水路閣、広沢池、祇園辰巳稲荷とロケ地てんこもり。マニア歓喜の回でした。

帰りは叡山電鉄の観光列車「ひえい」に乗ることができました。

ひえい
ひえいキター!!
ひえい
  

崇道神社

三宅八幡駅から三宅八幡宮方向とは反対に、高野川に沿って国道367号線を比叡山方面に少し歩くと、「浅見光彦シリーズ・崇徳伝説殺人事件」冒頭のロケ地「崇道(すどう)神社」があります。ちょっと比叡山に近づくだけで、昼間でも薄暗く鬱蒼とした樹々が迫るようになります。

崇道神社
崇道神社
「浅見光彦シリーズ・崇徳伝説殺人事件」のロケ地
浅見が見知らぬ女性にフィルムを託された場所(フィルムってのも死語だなあ)
2023年8月改訂公開